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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第106章 収穫祭の長き夜


「ああ、仮装の衣装は商人どもに用意させている。物の怪やら魔女やら魔王やら…珍しき異国の衣装を披露すれば民達もさぞ驚くだろう」

(魔王?それって…信長様が着られるのかしら…うっ、見てみたいけど何だか複雑な気分)

「催しは仮装だけではない。西洋ではハロウィンの夜に子供達が家々を訪れ、菓子を強請って回るのだそうだ。
その際に、『菓子をくれなければ悪戯をするぞ』という意味の言葉を言うらしいぞ」

「ええっ…何ですか、それ?」

「確か、『とりっくおあとりーと』と言ったはずだ。菓子か悪戯か、どちらか好きな方を選べということだ」

そう言うと、信長様はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

「お菓子か悪戯か…ですか?ふふ…面白いですね」

「ほぅ…貴様は悪戯も良いと?」

「そ、そんなこと言ってません!でもそれなら、お菓子を渡せば悪戯されないんですよね?それじゃあ、お菓子も沢山用意しなくちゃいけませんね!大人でも子供でも、収穫祭に仮装をして参加してくれた人にお菓子を配るというのはどうでしょう?」

「なるほど…それなら皆、こぞって参加するやも知れんな。仮装をすれば甘い菓子が貰えるというのは特別感があって良い。
まぁ俺は菓子より悪戯の方に興味があるがな」

「ええっ…そ、それはっ……」

冗談とも本気とも言えないような口調でサラリと言われてしまい、トクッと鼓動が跳ねる。
魔王の衣装に身を包んだ信長様に淫らな悪戯をされる…などという邪な想像が思わず浮かんでしまったからだが、そんなことは口が裂けても言えなかった。

「どうした?顔が赤いぞ」

クイっと口角を上げて不敵な笑みを口の端に乗せた信長様は、指の背で私の頬を下から上にすぅーっと撫で上げた。
冷んやりとした指が触れる感触が心地良く、指先の冷たさとは反対に身体の奥がじんわりと熱を帯びる。

「んっ……」

「朱里、『とりっくおあとりーと』だ」

「そ、そんな…今日はまだ『ハロウィン』じゃないですよ?」

「予行演習だと思えばよい。新しき催しは何事もまずは己自身で試してみなくてはな。さあ、菓子か悪戯か…好きな方を選ばせてやろう」

頬を撫でていた指先が唇の上をゆっくりと焦らすようになぞっていく。

「やっ…んっ…」
(こんな夜にお菓子なんて持ってないし…だからって、悪戯して欲しいなんて言えないよ…)

「信長様っ、意地悪しないで…」
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