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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第106章 収穫祭の長き夜


「えっ…『はろうぃん』…ですか??」

その日の夜、寝支度を済ませて寝所で信長様と向かい合った私が昼間子供達から聞いた収穫祭の話をすると、信長様からは意外な答えが返ってきた。

「そうだ。今年の収穫祭は『はろうぃん』という異国の催しを取り入れて行うつもりだ。堺に出入りしている異国の商人から聞いた話が大層愉快なものだったのでな。日ノ本でもやってみることにしたのだ」

口元を綻ばせて楽しそうに言う信長に対して、朱里は戸惑ったように眉根を寄せる。
初めて聞く異国の言葉は、確かに愉しげな響きを纏ってはいたが、その言葉の響きからは皆目、内容を窺い知ることはできなかったのだ。

「『はろうぃん』…って、私、初めて聞きましたけど…それは一体どのような催しなのですか?」

不思議そうに問うた私に、信長様は異国の商人から聞いたという『はろうぃん』の話をしてくれた。


『ハロウィン』は西洋で古くから行われている催しだという。
西洋の古代暦では、11月1日が新年とされ、大晦日にあたる10月31日の夜には死後の世界への扉が開き、先祖の霊が戻ってくると信じられていた。
その日は秋に収穫された作物を神々や戻ってくる先祖の霊にお供えするのだが、その日は先祖の霊だけでなく悪霊も一緒にやって来るのだという。悪霊達は作物に悪い影響を与えたり、子供を攫ったりと現世の人間達に悪さをするものだと恐れられていた。
そこで人々は、身を守るために仮面を付けたり仮装をしたりして悪霊の仲間だと見せかけたり、魔除けの焚き火を行ったりするようになったのだそうだ。


(ええっと、要するに新年の前の日に先祖の霊が帰って来て秋の収穫を祝う…ってこと?)

「何だか…大晦日と秋祭りと盂蘭盆会が一度にやって来た…みたいな催しですね」

「くくっ…貴様、面白いことを言うな。だが、言い得て妙だ。聞くだけで面白そうだと思わんか?」

「はい!凄くワクワクします…けど、具体的には何をするんですか?悪霊から身を守るため、仮面を付けたり仮装をしたりするというお話でしたけど、仮装…するんですか?」

(仮面は猿楽のお面みたいなやつ?を付けるとかかな?仮装は…想像できないな)


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