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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第105章 毒と薬は紙一重


布団の上でバタバタと手足を動かしていた吉法師だが、急に何かに咽せたように小さく咳き込み始める。

「大丈夫?吉法師っ、苦しいの?」

朱里が慌てて抱き上げてその背を摩るが、吉法師の咳き込みは激しくなる一方で、ケホケホと苦しそうに息を吐いている。

「っ…吉法師?急にどうして…」

吉法師は生まれてから今日まで病に罹ったことがなかったため、朱里はこのような時にどうしていいのか分からず、ひどく動揺していた。

(どうしよう…背中摩っても止まらないみたいだし、他に何か…あっ、白湯を飲むとか?)

少し離れた所にある机に置いていた水差しを取ろうと、吉法師を抱いたまま手を伸ばす私を信長様は片手で制すると、さっと動いて取ってくれる。
更には、水差しに入った白湯を赤子用の吸い飲みに移し替えて手渡してくれた。

「ありがとうございます、信長様」

「ん…吉法師、飲めるか?」

呼びかけながら、咳き込む吉法師の額にそっと手をやった信長は悩ましげにきゅっと眉を顰めた。

「……朱里、こやつ、熱があるぞ」

「えっ…本当ですか!?ん…あっ…本当だ、熱い…」

額に手を当ててみれば確かに熱く、腕に抱いた身体も言われてみれば心なしか火照っているようだった。

(いつからだろう…気付かなかった。さっきまで普通に眠ってたのに…毒のせい?それとも何か違う病とか…?)

どんな些細な変化も見逃さないよう、片時も目を離さずにいたというのに、熱があったことに気付けなかったとは……
またもや自分の至らなさを痛感し、ホゾを噛む思いではあったが、今は落ち込んでいる場合ではなかった。

吸い飲みで少しずつ白湯を飲ませ、時折咳き込みながらも飲んでくれたのを確認すると、再び布団の上に寝かせる。
横になった吉法師の頬に触れると、やはり熱い。高熱というほどではないが、これからもっと上がってくるかもしれなかった。

(早く冷やさないと…)

「私、水を汲んできます。信長様、その間、吉法師をお願いできますか?」

吉法師に肩までしっかり布団を掛けてやってから立ち上がろうとした時、廊下を足早に近付いてくる足音が聞こえた。

「朱里っ…」

「あっ…家康…」

入り口の襖が開いて現れた家康は信長を見て軽く頭を下げると、すぐに褥の傍へ歩み寄った。

「吉法師の目が覚めたって知らせを受けたんだけど…ねぇ、これ…どういうこと?」

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