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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第105章 毒と薬は紙一重


「…………あれ?」

籠の中身を全部取り出して、机の上に並べた薬草の数を確認していた家康は、怪訝な表情になる。
眉間にきゅっと皺を寄せて、もう一度、端から薬草の数を数え直す。
全部数えてから更に首を傾げ、ある薬草だけ再度数え直すが……

「………一つ足りない…」

何度数えても一つ足りない。

籠に入れた時には確かに十あったものが、九つしかない。

(おかしいな、天日干ししたものを回収した時に数えて…その時は確かにあった。一体どこに…)

薬草を睨みながら首を傾げていた家康だったが、あることに思い当たりハッとする。

「っ…もしかしてあの時に…?」

廊下の彼方此方に散らばった薬草の光景が目に浮かび、胸の内がモヤモヤと嫌な感じに燻っていく。

(一つ残らず拾ったはずだ。でも…もし拾い忘れていたらどうなる?あの『毒草』を…誰かが拾っていたら…?間違って持っていってしまったら…?)


答えが出る前に、家康は自室を飛び出していた。
着物の裾を絡げて、廊下を勢いよく駆ける。

とんだ失態だ。
仮にも、危険なものを扱っているという自覚があったのなら、その場で数を確認するべきだった。
それをしなかったのは、完全に自分の落ち度だ。
朱里の蕩けた顔に見惚れてた…なんて言い訳にもならない。

毒抜きを済ませてあるとはいえ、あれは元は強い毒性を持つ植物だった。完全に毒が抜けているとは言い切れない。
手で触れるぐらいなら大事ないが、もし誰かが誤って口にでもしたら…と思うと気が気ではなかった。

(誰にも拾われず、今も廊下の端にでも転がっていることを祈りたいっ…)

家康は自分の軽率さを呪いながらも一縷の望みを胸に抱いてひたすらに廊下を駆け、先を急いだ。




「………ない」

廊下に這いつくばって、目を皿のようにして探したが見つけられない。
朱里とぶつかった場所で、人目も気にせず床に顔を近付けて隅から隅まで探したが、件の薬草は見当たらない。
廊下は綺麗に磨き上げられ、塵一つ落ちていないのだから見落としようもない。
それでも万が一を考え、廊下の端で身を屈め、床下まで覗き込んでいると……

「家康様…?何をなさっているのですか?」

「っ…うわぁっ!」


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