第21章 年始の会
「朱里、大丈夫か??」
次の予定がある信長様と別れて、自室に戻ろうとしていた私に秀吉さんが駆け寄って声をかけてくれた。
「秀吉さん…緊張したけど、大丈夫だよ?」
「…嘘つけ、顔が強張ってる。
尾張や岐阜からの古老達は、自分達を無視して御館様が独断で動かれることを好ましく思ってないんだ。
以前から信長様に何度も縁談話を持ち込んできては、素気無く断られてきてたから………。
…お前のことが気に入らないわけじゃない。
あんまり気にするなよ…
朱里は御館様だけを信じてろ、いいな?」
「………ありがとう、秀吉さん。
ごめんなさい、心配かけて…」
「いや、何でも相談してくれよ。
……御館様が、夜は天主に来るように、って言われてた。
御館様にも、思ってることはちゃんと伝えるんだぞ」
秀吉さんの気遣いが嬉しくて、心配かけちゃいけない、しっかりしよう、と気合いを入れ直して自室へと続く廊下へ足を向けた。