第104章 魅惑の果実
朱里を抱いて部屋へ戻った信長は、そのまま胡座を掻いて床に座った。
「あ、あの…降ろして下さい。信長様?」
「ダメだ」
「っ…そうだ、夕餉は召し上がられたのですか?お酒の用意もしてありますから、よかったら…」
信長様にゆっくり寛いだ時間を過ごしていただきたくて、今宵は予め酒と肴の用意もしていた。
「夕餉は結局食い損ねたが…まぁ、一食ぐらい構わん。酒も今宵はいい」
「ええっ…何も召し上がらないなんて、そんなの良くないですよ?何か少しでもお口に入れて下さい」
「何も食わんとは言ってない」
「えっ?」
「口に入れば何でもよいのであろう?」
悪戯っぽく口の端を上げた信長は、いきなり朱里の耳朶をパクリと口に含んだ。
「えっ…やっ…な、何を…ちょっ…そういう意味じゃ…やっんっ…」
ーちゅるっ…ちゅぷっ…
「んっ…や、ああっ…舌っ、入れちゃ…」
熱い舌が耳の奥にぬるりと挿し込まれ、中の壁をぐちゅぐちゅと舐める卑猥な水音が頭の奥へと響く。
羞恥と快感に抗えず、淫らな声が溢れてしまいそうになり、慌てて口元を押さえた。
「んっ…ふぅ…んんっ…」
「声を抑えるな。もっと聞かせよ」
耳元で甘く囁かれながら、手を絡め取られてしまう。
爪先にチュッチュッと啄むような口付けが何度も落とされる。
「朱里…ずっと貴様に触れたかった。今宵は朝まで離さぬ」
「信長様っ…」
熱っぽく求められて身体の奥がジンっと疼く。
横抱きに抱かれたまま、夜着の腰紐に信長様の手が掛かった。
シュルリと簡単に解かれて袷が緩むと、期待に揺れる身体がピクっと反応してしまう。
袷の間から滑り込んだ手は胸元へ伸ばされて、やわやわと膨らみを揉む。
信長様に触れられている…それだけでひどく敏感になってしまう。
けれども今宵は……
「あっ…ま、待って…信長さま、待って下さい!」
「待たん。今更待てん」
「ち、違っ…あの、今宵はその…私が…」
「ん?」
「わ、私がその…致します」
「………は?」
(は、恥ずかしいっ…でも、今宵は信長様に寛いでいただくって決めたんだから…)
「っ…信長様のお疲れを私が癒します。だから今宵は私がご、ご奉仕を…致します」
「っ…貴様…」
私の予想外の申し出に驚いたのか、胸を弄っていた信長様の手が止まる。