第21章 年始の会
朝餉の時間になり、信長様と手を繋いで広間に下りる。
「おう、朱里。明けましておめでとう。
…昨夜はちゃんと寝かしてもらえたか?」
「もうっ、政宗、朝から何言うのっ。
明けましておめでとう…すごい料理だね、美味しそうっ」
広間にはそれぞれの膳にお雑煮と色どり豊かなおせち料理が並んでいる。
お雑煮は、アワビ、ナマコ、ニシン、ゴボウ、豆腐、黒豆、角餅が入ったすまし汁仕立ての豪華なもの。
「いっぱい食えよ。雑煮はおかわりもあるぞ」
政宗の料理は本当に美味しくて朝からついつい食べ過ぎてしまう。
「朱里、ゆっくり食べろよ。喉に詰まるぞ。
餅は最低30回は噛め」
「っ、秀吉さん、過保護すぎだよ。私、そんな年じゃないからっ」
「…そうですよ、それは三成に言ってやって下さい」
「い、え、や、す〜、お前は唐辛子かけすぎだぞ?
俺の料理を何だと思ってんだ…真っ赤じゃねえか」
「おい、光秀っ、おせちを混ぜるなっ!
あ〜ぐちゃぐちゃじゃねえかぁ…」
「気にするな、口に入れれば一緒だ」
「うっ、げほっ、ぶっ」
「うわっ、三成、大丈夫か?茶を飲め、早くっ」
「………貴様ら、正月早々騒がしいぞ。
もっと落ち着いて食え」
「……失礼しました。
……って御館様も朱里に食べさせてばかりいないで、ご自分もちゃんと召し上がって下さいっ!」
(ふふっ、幸せだな、こんな時間。
信長様と武将の皆と他愛ない話をして、笑い合って…
今年もずっとこんな時間が過ごせるといいな)