第103章 旅は道連れ
ードオーンッ!バラバラッ…
(えっ…?な、何…!?)
突然、雷のような地響きのようなドォンッという音が聞こえ、夜空がぱぁっと明るくなった。
「っ…えっ…あっ…花火…?」
驚いて空を見上げると光の花が花開き、キラキラと輝きながら宵闇に吸い込まれていくところだった。
続けてまたドォンッ、バラバラッという音がして暗闇の中に色鮮やかな大輪の花が咲く。
(うわぁ、綺麗…そう言えば佐助くんが『祭りの後半には花火も上がるよ』って、言ってたな。偶然とはいえ、こんな近くで見られるなんて…)
花火は目の前を流れる川のどこか岸辺で上がっているのだろう。
近いから音も凄くて思わず耳を塞ぎたくなるほどだが、間近で見る花火の美しさには言葉も失ってしまう。
たまたま川の近くに来ていたおかげで、こんな特等席で花火が見られるなんて、何て幸運なんだろう。
「はぁ…綺麗ですね。あっ…また上がった!わっ…大きいっ!」
次々に打ち上げられる花火の美しさに目を奪われて興奮気味に声を上げる。
いつの間にか、花火を近くで見ようと集まってきた人々が周りに増えていて、夜空が明るくなるたびに彼方此方から歓声が上がっていた。
大人も子供も一緒になって夜空を見上げ、美しい花火に感嘆の声を上げている。
チラッと見ると、どの顔も愉しげに輝いていて幸福そのもののように見えた。
「綺麗ですね、信長様…って、えっ…ちょっ…何でこっちを見るんですか!?花火を見て下さい、あんなに綺麗なんですから…」
隣で一緒に夜空を見上げているものとばかり思っていた信長様がじっと私の方を見ていることに気付き、慌ててしまった。
「んー?花火より花火に見惚れる貴様の方が何倍も綺麗だぞ」
「なっ……」
(どうしちゃったんだろう…さっきまで何も仰らなかったのに、また急にそんな甘々なことを…)
先程から甘い言葉で褒められてばかりで、嬉しいけれど戸惑ってしまう。
「……朱里」
「えっ、あ、んんっ…」
顎先を掬われて、あっと思う間もなく唇を重ねられた。
軽く触れるだけの口付けかと思いきや、ちゅうっと吸い付くように深くまで奪われる。
「んっ…やっ…だめっ…信長さま…ここ、外で…」
ードオーンッ!バラバラッ……