第103章 旅は道連れ
翌日は、領内の視察に行く信長様達と別れ、私はまた佐助くんと一緒に義元さんの部屋に遊びに来ていた。
「えっ、お祭り?」
「そう、明日は春日山城下で夏祭りがあるんだ。屋台が出たり、最後は花火も上がったりしてなかなかに盛り上がる夏の一大イベントだ。朱里さん達の滞在中に間に合ってよかったよ」
「そうなんだ、それは楽しみだね!」
夏のこの時期は大坂城下でも夏祭りがあって私も毎年出掛けているが、春日山城下の夏祭りはどんな感じなんだろう。
「朱里、お祭りに行くんだったら俺が浴衣を見立てて上げるよ。今から仕立てるのはさすがに無理だけど、城下の呉服屋は浴衣も扱ってるから、今から見に行かない?」
義元さんがニッコリと笑いながら誘ってくれる。
「えっ、いいんですか?あ、でも…信長様のお留守に勝手に出掛けてもいいんでしょうか?」
今日は慶次や三成くんも視察に同行していて、お城に残っているのは私と義元さんと佐助くんだけなのだった。
「う〜ん、いいんじゃない?護衛は佐助がいれば十分でしょう?」
「勿論です、義元さん。朱里さん、安心して。春日山城下で君を危険な目には遭わせない。大丈夫、俺はちょっと凄い忍者だから」
「あ、うん…ありがとう」
「信長には当日まで浴衣のことは秘密にしておいて驚かせるっていうのはどう?きっと喜んでくれると思うよ」
「わぁ…それ、素敵ですね、義元さん」
「ふふ…美しい君に似合うものを見立てられるなんて、光栄だよ」
「そ、そんな…こちらこそ…よろしくお願いします!」
「義元さんの目利き魂に火が着いたみたいだな。これは楽しみだ」
そんなこんなで話が纏まり、私達は城下の呉服屋さんを尋ねることにしたのだった。