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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第103章 旅は道連れ


その夜は、私達のために謙信様が歓迎の宴を開いて下さり、宴は夜遅くまで盛大に行われた。

広間には次々と酒が運ばれ、それがあっという間に空けられていく。
織田家でも理由は様々だが宴は頻繁に行われていて、武将達も酒に強い者が多かったが、ここ春日山城での酒宴は桁違いだった。

(っ…すごい勢いで酒樽が空いてるっ!もう相当飲んでるのに、勢いが全然変わらないなんて…やっぱり越後の人はお酒に強い人が多いのかな?)

信長様の隣で控えめに盃に口をつけながら、ますます賑やかになる広間の様子を眺める。
隣に座る信長様にチラリと視線をやれば、宴の最初から変わらぬ様子で盃を干している。
そのまた隣の謙信様の酒の勢いも半端ないのだが、二人とも顔色一つ変わることなく飲み続けていた。

(謙信様はやっぱり相当お強いみたいだな。信長様は…大丈夫かな…?)

信長様も酒はめっぽうお強いが、それでも時折酔われることがあるから心配だ。


「朱里、楽しんでるかい?」

片手に盃、もう片手にはお饅頭の乗った皿を手にしてふらりと現れた信玄様は、信長様達の方をチラリと見てから私の隣に腰を下ろした。

「信玄様!はい!やっぱり越後のお酒は美味しいですね。それに新鮮な魚が食べられるなんて思ってなかったので、嬉しいです。ついつい食べ過ぎてしまいそうです」

「越後は海に面してる国だからね、魚も新鮮なまま口にできる。冬の厳しさはかなり堪えるが…良い国だよ、越後は」

「そうですね。私、こんな風に旅に出たのは初めてなので新しく知ることも多くて…」

「次は是非、甲斐国にもおいで。生憎と海の幸はないが山の幸は豊富だ。俺が色々案内してあげよう」

「あ、ありがとうございます…あ、あの…信玄様、ええっと…?」

「んー?君の手はまるで白魚のような美しさだね。すべすべして、触れているだけで気持ちがいいな」

いつの間にか、さり気なく手を取られてすりすりと手の甲を撫でられていた。
武骨な武将の手に似合わぬ優しげな手付きと甘い言葉に、無下に振り払うこともできなくて困ってしまう。


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