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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第103章 旅は道連れ


「二人ともお疲れ様でした。怪我もなくて本当によかった。出立は明日の朝になったことだし、ゆっくり休んでね!」

「あ、ああ…」
「朱里様…?」

努めて明るい声で話す私を、慶次と三成くんは訝しげな目で見ていたが、気を遣ってくれたのか、それ以上問われることはなかった。


二人と別れて、一人で部屋へと戻る。

(あの様子だと信長様は夜まで戻られないかもしれない。思いがけず一人になっちゃった。大名との交流も大事なお仕事だと分かってはいるけど…何だかちょっと寂しいな…なんて、私、身勝手が過ぎるな…)

お身体のことも心配だった。
怪我はない、と信長様は仰っていたけれど、小さな怪我なら周囲に隠して平静を装われることが多い御方だから、自分の目でその身のご無事を確かめるまでは本当の意味で安心などできなかったのだ。


『貴様は本当に心配性だな』

戦から戻るたび、不安で揺れる顔を隠し切れない私に信長様は呆れたように言いながらも、いつでも安心させるように優しく抱き締めてくれていた。
戦の後始末で忙しい時も、時間が許す限り傍にいて下さった。
離れていた時間が長くても短くても、私の不安な気持ちに必ず気付いて包み込んでくれるのだ。

世間では『魔王』などと呼ばれていても、信長様は本当は優しい方だ。
まだ若い大名を導きながら牢人達を制圧して、求めに応じて戦術の教授をしてあげる…面倒見のよい方だと思う。

(信長様は『全て自分に益のあることだ。面倒見がよい、などと貴様は甘っちょろいことばかり言う』とか何とか言うんだろうな…そういうところも信長様らしくて好きだけど…)

一人きりの部屋の中でぼんやりと物想いに耽っていると、何となく息苦しさを感じてしまう。
外の空気でも吸おうかと、庭に面した障子をそっと開いてみた。

昼下がりの陽射しは強く、梅雨明けの晴れ晴れとした天気に庭の草木も青々と生い茂っている。
今日は風も少なく、障子を開けてみても風の流れは感じられなかった。

(いつもは城内にいても息苦しさなんて感じないのに…やっぱり人のお城だからかな、落ち着かない。早くまた馬に乗りたい…信長様と一緒に旅に戻りたいな)


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