第20章 大晦日の夜
ボーン ボーン と除夜の鐘が遠くの方から聞こえてくる。
「…今年ももう終わりですね」
天主の室内で信長様に膝枕をしながら、一年の終わりに思いを馳せる。
去年の今頃はまだ信長様と出逢っておらず、小田原で父や母、兄弟達と平凡で当たり障りのない毎日を過ごしていた。
変化のない日常を過ごしながら、いずれは北条の姫として何処かの大名か有力な家臣の元へ嫁がされるのだろうと、乱世に生まれた自分の道行きを覚悟していた。
信長様に出逢って、半ば強引にではあったけれど安土という未知の土地に来ることができて、本当に色んなことを知った。
そして……好きな人に愛される幸せ、全てを求められる喜び…恋する楽しさ、離れて過ごす寂しさ、好きな人を失うかもしれないという怖さ、もたくさん知った。
「…来年も再来年も、そのまた先も…ずっとお傍にいたいです」
「当たり前だ、貴様を手離すつもりなど毛頭無い。
離れたいと言っても離してやらん」
「ふふ、嬉しいです」
信長様は上半身を起こすと、私の腰に手を回して引き寄せ、その腕に閉じ込めて深く唇を重ね合わせる。
チュッ チュッと啄むように下唇を食みながら、尖った舌が上唇とその奥の歯列をツーっとなぞっていく。
「…っ、ん、ふ、あぁ…はぁ」
口づけはそのままに腰に回していた手が私の身体を弄る。
腰からお尻へ、その下の太腿へ、とねっとりとした手つきで焦らすように触れていく。
内腿の奥の方がじんわりと熱を帯びてきて、ジュワっと熱いものが溢れたのを感じる。