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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第101章 妻として母として…その先に


馬を歩ませて信長様が向かった先は……

「信長様、あの、ここは……」

着いた先は、以前視察に来たあの村だった。

「この村にも学問所を開いたのでな。今日はその視察だ。この村のことは貴様も気にしていただろう?」

「覚えていて下さったのですね。ありがとうございます」

この村のこと、あのお婆さんのことはずっと気になっていた。
けれど、私が政のことに口を出すわけにはいかず、信長様がどのような始末をなさったのかも聞けず終いだったのだ。

(よかった…信長様も私と同じように気にして下さっていたんだわ)


この村の学問所は寺の敷地内で開かれているということだったので、私達は田舎道をゆったりと馬を歩ませながら寺へと向かう。

「学問所へ通う者は増えてきているようだな」

「はい!最初は、費用がかかるのではないかと躊躇っていた者が多かったのですが、誰でも無償で通えるということを広く周知したところ、子供達を通わせてくれるようになったのです。
本当は大人達にも学んで欲しいのですが、やはり昼間は皆、仕事がありますし…」

夕方からは大人達にも学問所を解放しているが、思うほどには人は集まっていなかった。
大人達からも学びたいという声は聞いていたが、自分の仕事を疎かにしてまで学問所へ通おうという者は少なかったのだ。

学ぶことが民達の強く生きる力になればと思い学問所を始めたが、民達はそもそも働かねば生きていけない。
学ぶ意欲はあっても、現実は思うようにいかないこともある。

「この日ノ本に住まう全ての民に学びの機会が与えられれば、それに越したことはないが…今はまだ、全て為すには難しいこともあるのだ。
先ずは未来を担う子供らに…ひいては子供らから親たちに教えることもできるようになるであろう。焦らずともよい。やれる事から一つずつ、やっていけばよいのだ」

「信長様……」

(信長様は、私が考えるよりずっとずっと先を見据えていらっしゃるのだわ。やっぱり敵わないな、信長様には…)


頼もしい信長様の背に、きゅっと抱き着いた……その時だった。



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