第101章 妻として母として…その先に
「朱里……」
自分の考えを認めてもらえたことが嬉しくて、思わずはしゃいだ声を上げた朱里を信長は眩しげに見つめると、優しく名を呼び、その頬にそっと手を伸ばす。
「っ…信長様…?」
「あぁ…美しいな。貴様のその美しい笑顔が見られるならば、俺はどんなことでもしてやる」
「っ…そんなこと…っ…あっ、んっ…」
頬をするりと撫でた指先は、私の顎をくいっと持ち上げる。
ちゅっと軽やかな音とともに重なる唇に、トクンッと胸が甘く疼いてしまう。
「貴様はいつでも愛らしいが、『やりたいこと』を見つけて生き生きと輝く貴様の顔は一段と愛らしい。その笑顔、俺だけに見せよ」
「んっ…ふっ…あっ…」
深く重なり舌を絡めて奪われると、頭の奥がじんっと疼いてゾクゾクと背筋が震える。
ーちゅっ…ちゅくっ…くちゅっ…
濡れた淫靡な水音が耳を犯す。
頭の中がふわふわとした感覚でいっぱいになって身体がゆるゆると弛緩してしまい、堪らず信長様に寄り掛かるように身を寄せる。
信長様の腕が自然に腰に回ったかと思うと、あっという間に身体を引き寄せられて腕の中に囚われてしまう。
「ぁっ…んっ、やっ…待って、信長さま…」
「声まで愛らしいのは困りものだ。そのような声を聞かせられたら…くっ…抑えが効かなくなるっ…」
苦しげに息を吐いた信長は、朱里の首筋に顔を埋めて深く息を吸った。
「ふっ…うっ…ん、やあぁ…」
首筋に熱い吐息がかかり、擽ったさに身悶えて艶めかしい声が漏れる。
恥ずかしくて口元を押さえようと伸ばした手は、呆気なく絡め取られてしまい、信長の唇が指先を柔らかく食む。
ちゅぷちゅぷっとわざとらしく水音を立てながら、指先をねっとりと舐められる。パクリと咥えられたかと思うと、指の付け根を舌先でツンツンと擽られてしまう。
「やっ…んっ、ンンッ…」
見せつけるように目の前で指先を口内に出し入れされて、妖艶な信長様の表情から目が離せず、酒に酔ったように頭がクラクラしてしまう。
「っ…はっ…蕩けた顔だな。愛らしい…もっと見せろ。ぐずぐずに蕩けた貴様の顔が見たい」
熱に侵されたような熱っぽい声を耳の奥に注がれて、身体がビクリと歓喜の波に震える。
身体中がひどく敏感になってしまって、少しの刺激にも容易く感じてしまうようになっていた。