第19章 金平糖を奪還せよ
急に思い詰めたように黙り込む俺を、秀吉は心配そうに見ている。
「…御館様、私は平手様のように御館様のお味方としてお支えできているでしょうか…」
「ふっ、貴様、今更何を言う?
貴様は俺の右腕であろう?
決して欠けることのない、唯一の右腕だ。
天下が平穏に保たれるその日まで、俺について来い」
「っ、はいっ!どこまでもお傍でお支え致します!」
泣き笑いのような顔で平伏する秀吉を、穏やかな気持ちで見つめる。
爺、お前はあの世で俺を見ているのだろうか。
俺はあの頃のように一人ではない。
世話焼きで叱言が多い、だが、俺に絶対的な忠誠を示してくれる『右腕』と、
この場にはいないが、汚れ仕事を自ら引き受け陰になって俺を支えてくれる皮肉屋の『左腕』
俺には、なくてはならない二人だ。
爺に見せてやれなかった『戦のない世』の実現も、もう間もなくだ………見ていてくれ。