第19章 金平糖を奪還せよ
「……襦袢を新たにお仕立て致そうと思うのですが………
信長様との夜伽の際にお召しになる、少し色気のあるようなものを」
「ええっ??」
思いもよらない申し出に慌ててしまい、頭がついていかない。
「例えば…襦袢は白色や桃色が多いですが、それをもっと艶めかしい扇情的な色合いのものにするとか…肌が透ける素材のものにする、というのも宜しいかと…
御館様が更に朱里様に欲情されるような襦袢をお作りしたいと思うのですが………如何でしょう??」
(よ、欲情って…針子さん達、すごいこと考えるな…)
「私達、朱里様がこのお城に来られてから仕事に張り合いができたんですよ。
これまで御館様には決まった御方がいらっしゃいませんでしたので、華やかなお着物をお作りする機会も少なくて…少々寂しい思いをしておりました。
御館様と朱里様が仲睦まじく過ごされるお手伝いをしたいのです!」
「あ、ありがとうございます…皆さんにお任せしますので、よろしくお願いします!」
針子さん達の勢いに圧倒され、朱に染まった顔を隠しながら一気に言って部屋を逃げるように出た。