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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第99章 新たな出逢い


「おぅ、急で悪い。実は…今朝、前触れもなく甲斐から信玄様がお見えになられてな…突然のことだったんで、もう大騒ぎだよ。朝から三成と対応に追われてたんだ」

「ええっ…信玄様が!?」

「そうなんだ。信玄様は同盟相手だし、甲斐は御館様との共同統治の地だから、御館様を訪ねて来られてもおかしなことではないんだが……知らせもなしに供の家臣と二人だけでひょっこり来られるもんだから、さすがに焦ったよ」

苦笑いを浮かべる秀吉さんは、困ったように首の後ろを掻いている。

「じゃあ、信長様は今、信玄様と一緒にいらっしゃるのね。今日は朝からお姿が見れなくて心配してたんだよ」

「ああ、すぐに知らせなくてごめんな。御館様も信玄様とお話されてたから、俺もお傍を離れられなかったんだ。で、もうすぐ昼餉の刻限だから、朱里も是非一緒に、って信玄様が言われてな。それで迎えに来たんだよ」

「そうなの?いいのかな、私もご一緒して…」

甲斐からわざわざお越しになられたのだから、信長様と政のお話など色々なさるのではないか、食事の席とはいえ、女の私が同席してもいいのだろうか、と不安になる。

「朱里も信玄様とは知らない仲じゃないだろ?…まぁ、とうの信玄様は『早く天女に逢わせろ』って仰って御館様を苦々しい顔にさせておられたがな…ははっ…」

「うっ…(大丈夫かな、それ…笑い事じゃ済まないかも…)」


先行きが若干不安になりながらも、秀吉さんと一緒に広間の方へ向かう。


信玄様とは、昨年の信長様のお誕生日の時に初めてお会いした。

何というか、その場に立っているだけで大人の魅力が溢れ出るような御方で、立板に水の如く甘い言葉を囁かれる方だった。

(信長様の妻である私に遠慮なしに口説いてこられたのにはびっくりしたけど…まぁ、信玄様にしたら軽い挨拶みたいなものなんだろうし、憎めない方ではあるよね)

甲斐を共同統治するようになる以前は、国を奪った信長様を激しく憎んでおられたと聞いていたから、私も初めて会った時はひどく緊張したのだが、信玄様と信長様の間にわだかまりが残っているようには、私には思えなかった。

織田家と武田家は今、思っていたよりも穏やかな関係が築かれているようだった。


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