第19章 金平糖を奪還せよ
「次は……どこを探しましょうか?」
厨、書庫、衣装部屋、武器庫、宝物庫………などなど、城内のあらゆる場所を探してきたが、やっぱり金平糖は見つからない。
「う〜ん、あと探してないところと言えば、どこかなぁ?
……針子部屋ぐらいでしょうか…」
「針子達の作業場か…ありえるかもしれん。
秀吉は城内の女どもに好かれておるからな…針子達なら秀吉が頼めば金平糖を隠すやもしれん。
よし、早速行ってみるぞ!」
言いながら、既に針子部屋に向かって歩き始めている信長様を、慌てて追いかけながら声を掛ける。
「の、信長様、針子さん達には私が聞きますので、信長様は少し離れたところで待ってて下さいね!」
「………何故だ?」
(っ、信長様が秀吉さんに金平糖を取り上げられてる姿なんて、あんまり見せられないよ。
城主の威厳が損なわれるっ!)
「女性には女性が聞いた方がいいんですよ!
信長様が一緒だと、針子さん達も緊張しちゃうでしょ?」
「……そういうものか?では貴様に任せる。抜かるなよ」
「は、はいっ!お任せを…」
(なんか大袈裟なことになってきたな…信長様はいつだって何に対しても真剣勝負なんだよね)