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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第99章 新たな出逢い


(また京から急ぎの文…今度は一体何だろう…)

何か悪い知らせではないかとハラハラしながら、文を読む信長様の表情を窺うが、信長様は全く表情を変えることなく読み進めている。
秀吉さんもまた、信長様の足元に跪いたまま、気遣わしげな視線を向けていた。

やがて文を読み終えた信長様は、ふっと息を一つ吐いてから秀吉さんへ文を渡す。

「秀吉、そう深刻そうな顔をするな。此度は大した用件ではない。来月、宮中で催される曲水の宴に出席するために上洛せよ、とそれだけだ」

「宮中行事ですか?それはまた…」

思ったよりも平和な話でよかった、と秀吉は胸の内でほっと息を吐く。

「返事は戻ってから書く。宮中の行事など出たくはないが…先日の九条家とのこともあるしな…一度上洛はせねばなるまい」

「ははぁ…あの、それで、今すぐにお返事を頂戴したいとお使者殿が待っておられまして…そのぉ、城へお戻りいただきたいのですが…」

「はぁ?今すぐだと?勝手なことを言いおって…久しぶりの朱里との時間を邪魔するとは許せん」

途端に信長様の表情が険しくなる。

「の、信長様…城へ戻りましょう。私は、今日はもう充分楽しかったですから…」

信長様の機嫌が悪くなりかけていることに気付いた私は、そっと袖を引く。

「朱里…しかし…この後は、結華の誕生日祝いの品を見ると言っていただろう?今日を逃せば、またいつ一緒に出掛けられるか分からんのだぞ?」

確かに、信長様は毎日政務でお忙しく、今日のようなお休みを取られる日は滅多にない。
この月の結華の誕生日祝いの品を二人で選ぶこと、それは今日の逢瀬の目的でもあったのだが……

「でも、帝のお使者をお待たせするわけには……」

「む…………」

眉間にきつく皺を寄せ、不機嫌さを隠そうともせず黙ってしまった信長様を、秀吉さんとともにハラハラしながら見守る。
秀吉さんも本当は信長様を怒らせるようなことは言いたくないはずだが、朝廷からの使者との間で板挟みになっているのだろう。

長い沈黙の後、信長様は渋々といった風に口を開く。

「朱里、少しの間、ここで待っていられるか?城へ戻って文を一通書いたら、すぐに戻ってくる。それまでここを動かずにいろ。いいな?」

「っ…はい、分かりました。お戻りをお待ちしています」


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