第98章 翠緑の恋情
「っ、あっ…信長、さま…」
あっと思った次の瞬間には、立ち上がった信長様の腕の中に引き込まれていた。
「んっ…ふっ…う、ンッ…」
熱い唇が重なり、呼吸さえも奪うかのように激しく求められる。
強引に歯列を割って押し入ってきた舌が、口内を傍若無人に動き回り、私の舌を絡め取って奥深くまで暴いていく。
息をする間まで奪われて頭の中が真っ白になってしまい、離れようと身を捩るが、私を捕らえた腕は弱まることはない。
「やっ…うっ、ん…もぅ…待って…苦しっ…」
息苦しくて頭は何も考えられなくなっていたが、身体は欲に正直なのか、燃えるように熱くなっていた。
ーちゅっ…ぷっ…
腕の中でくたりと力が抜けてしまった私を優しく抱き締めながら、信長様は濡れた水音を響かせて唇を離す。
「あっ、はっ、はぁ…はっ…」
「ふっ…続きは寝台の上で致そうか、奥方様?」
荒く息を吐く私の背を、宥めるように優しく摩ってから、信長様は私を軽々と抱き上げて寝台の上へと下ろした。
ギシッと寝台の軋む音とともに、信長様の身体が覆い被さってくるのを、うっとりと下から見上げる。
「信長さまっ…」
込み上げてくる愛しさをそのままに、下から首に腕を回して、ぎゅうっと縋り付く。
先程までの恥ずかしさは何処かへ行ってしまったかのように、自分から身体を擦り寄せて、触れて欲しいと言わんばかりに強請っていた。
「っ…朱里っ…」
キュッと眉間に皺を寄せ、悩ましげな吐息を漏らす信長様の姿に、激しく心が揺さぶられる。
「んっ…信長さまっ…いっぱい抱き締めて。特別なお祝いなんていらない。信長様が欲しいのっ…貴方を、私だけにくださいっ…」
「っ、くっ…煽りおって…そんな愛らしいことばかり言うとは、覚悟はできているのだろうな?今宵は加減はせん。何度でもくれてやる。朱里っ…その身に俺の全てを受け入れよ」
「あっ…あぁ…」
性急に肌を暴かれて、鍛えられた筋肉質な身体が重なると、身の奥の熱が一気に温度を上げる。
湧き上がる熱情に全身を揺すぶられて、私は愛しい人から絶え間なく与えられる快楽の波に、身を委ねていったのだった。