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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第97章 愛とは奪うもの勿れ


大坂城に滞在して数日、綾姫は信長との距離が一向に縮まらないことに苛立ちを隠せないでいた。

摂政の娘である自分に対して、信長の態度は表面的には丁重だった。
あれが欲しい、これがしたいと言えば、すぐに手配され、願いは容易く叶えられた。


けれど、信長は一度も会いに来てはくれない。
それならばこちらから会いに行こうとしても、執務中だと言って断られるばかり。
唯一会える朝餉の席ですら、目も合わなければ、声も掛けられない。

これはもう、完全に避けられていると、さすがに認めざるを得ない状況だったが、だからと言って信長を諦めることなど出来なかった。

朝餉の席で、凛々しく男らしいその姿を見るたびに、鼓動が忙しなく騒ぐ。
朱里に優しく触れる姿を見るたびに、嫉妬で激しく心を揺さぶられ、自分も信長の隣にいたいと強く思う。
偶然見てしまったあの夜のことが頭から離れず、信長に触れられることを想像しては身の奥が激しく疼いて仕方がなかった。

信長に無条件に愛される朱里がひどく妬ましかった。


(信長様への輿入れは、父上が帝へ話を進めて下さっているはずだけど…京からは一向に返事が来ない。このままここで無為に時を過ごし、ただ待っているだけでは、信長様のお心には触れられないわ。こうなったら自分から…)

『お慕いしている』と想いを打ち明けて…この身を捧げたい。

(閨事の経験はないけど…私の方が若いんだから、か、身体だって子供を二人も産んだ女になんか負けてないわっ。殿方は誰だって若い女の方がいいに決まってるのよ……)


父も…そうだ。正室がいながら、正室よりも若かった母を側室にして私を産ませたのだ。
母の他にも、若い側室や側女を傍に置いている。
公家の家も武家の家も一夫多妻など当たり前。
生涯、一人の女子で満足する男など……いるはずがない。

(どんな殿方でも、一度若い女の身体を抱けば、夢中になるはず…信長様だってきっと……)


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