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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第96章 年越し


「……ゅり、朱里っ…」

「…んっ…っ……」

「朱里、起きよ」

ゆさゆさと肩を優しく揺さぶられる心地良い揺れに眠気は増すばかりで、『起きろ』と言われているにも関わらず、一向に目蓋が開けられない。

(ん…気持ちいい…目、開けたくないな。誰だろう…起きろ、なんて言わないで)

ーちゅっ…ちゅううぅ……

「っ…ふっ…うっ、ううぅー、んっ…」

いきなり熱く柔らかな濡れた感触のものが唇に押し当てられ、口内の僅かな空気さえも奪うかのように強く吸われた。
急速になくなっていく空気に一気に息苦しさを覚えて、驚いて閉じていた目蓋をパチっと開くと、燃えるような深紅の瞳が間近にあった。

(っ…ひゃ…信長様…?な、何っ…)

突然の口付けに驚いて混乱する思考のまま、覆い被さる信長様の身体を精一杯押し返す。

そうすると、さしたる抵抗もなく身体を離す信長に若干拍子抜けしながらも、慌てて記憶を手繰り寄せる。

(ええっと…私、どうして…?信長様と遠乗りに出かけて…遅くなって帰れなくて…えっと、村の人と一緒に年籠りを…あっ!年越し…あっ、もう…?)

「おい、朱里…大丈夫か?」

苦笑いを浮かべながら覗き込む信長の背後には、顔を赤くして目線を逸らす村人達の姿が……

(や、やだ…さっきの口付け見られて…)

「やっ、もう、何!?信長様っ、ひ、人前ですよ…何で口付けなんて…」
(しかも結構濃厚なやつだった……)

「阿呆っ、何度呼んでも貴様が起きんからだ。この俺の呼びかけに答えんとはいい度胸だ。口を塞いでやれば、起きるかと思ったまでだ」

「なっ…だからって村の人の前で…」
( ……ていうか、そもそも、神様の前だったし!恥ずかし過ぎる!)

「ふっ…おかげですっかり目が覚めたようだな。朱里、もうすぐ夜が明ける。城へ戻るぞ」

「あっ…………」

社殿に集まった村人達と語り合い、年越しの瞬間を共に過ごした。年が改まった後は、御神酒が振る舞われて新しい年を皆で祝ったのだが、夜明けを待つ間にいつの間にか眠ってしまっていたようだった。

(信長様達は一晩中起きていらしたみたい。私も朝まで起きているつもりだったのに…いつの間に寝ちゃってたんだろう…)


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