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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第95章 雪の日に


「やっ…信長様、離して…」
(結華の前で…恥ずかしい)

「手も…こんなに冷たい」

悩ましげにそう呟くと、身体を僅かに離して両手で私の手を包み、はぁ…と息を吹きかける。
唇が触れそうな距離で信長様の熱い息を感じて、身体がビクリと震えてしまった。

「んっ…はぁ…やっ…」

「雪遊びに興じる貴様は愛らしいが、貴様の身をこんなにも凍えさせた雪が憎らしいな」

「あっ…そんなことっ…あぁ…」

そっと、悴んだ指先に唇が触れる。触れた先からじんわりと熱が広がっていくようだった。

「信長様っ…大丈夫ですから、もう…」

『もう、離して』と言いかけた口を、閉じさせるように指先で唇を撫でられてしまう。

(んっ…結華が見てるのにこんな…ダメなのにっ)

結華の視線が気になって、信長様の腕の中で身動ぐ私だったが、結華は父と母のそんな仲睦まじ過ぎる様子にさほど興味はなかったようで、只々雪だるまの仕上げに夢中になっていた。


「父上、母上、出来ましたっ!」

元気な声が聞こえて、見てみると…

「わぁ!可愛くできたねぇ」

大きな雪だるまは、いつの間にか結華によって飾り付けられて、可愛らしい顔が出来ていた。

「ほぅ…なかなか上手いものだな。よく出来ておる」

信長様は、未だ私の肩を抱きつつも、興味深そうに雪だるまの顔を覗き込んでいる。

「雪だるまとは、こんな風に顔を作るものなのだな」

「あ、はい…そうですね。信長様は子供の頃、雪だるま、作ったりはなさいませんでした?」

「いや、ないな。尾張でもひと冬に数回は雪が降り積もる日があったが、雪だるまなどは作ったりしなかった。悪ガキどもと雪合戦はよくやったが…」

「雪合戦??何ですか、それ?」

「平たく言えば、雪玉を使った陣取り合戦だ。二組に分かれて、雪玉をぶつけ合う。雪玉に当たると戦線離脱となり、互いの陣の旗を先に取った方が勝ち、という遊びだ。他愛ない子供の遊びだが、策を立て戦術を張り巡らして本陣を落とすというのは、実戦にも通じるものがある」

「な、なるほど……」

ただの雪遊びかと思ったら、意外と本格的な遊びだったようだ。

信長様は幼少の頃から、そんな風に遊びの中でも戦の鍛錬をなさっておられたのだと、いつだったか家康に聞いたことがあった。

(家康は『信長様には、散々あちこち連れ回された』ってぼやいてたけど……)


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