第18章 宴のあと
着物の上から下腹部のあたりをスリスリとさする。直接的な刺激はないはずだが、朱里は恥ずかしそうに身を捩る。
「…戦場でも貴様を想わぬ日はなかった。
今宵は朝まで離さぬ…存分に俺を感じろ……」
「信長さま…私も貴方のことばかり考えていました。
お怪我をされていないか、少しは眠れていらっしゃるか、と心配ばかりして…。
貴方のいない夜は寂しくて不安に押し潰されそうだった。
…今宵、貴方の無事をこの身で確かめさせて下さい」
朱里を抱き上げて褥に運び、そっと横たえさせる。
いつもよりも濃い紅を引いた唇が誘うように僅かに開かれていて、その間から小さな舌がチラリと覗いている。
無意識のうちに男を誘うような色気を放つ姿に、自身の欲望がムクムクと反応し始めているのを感じる。
「…久しぶりゆえ、優しくできぬやもしれぬ」
「っ、信長さまをいっぱい感じたいです。貴方の思うままに…して下さい」
(愛らしいことを言う…ならば今宵は俺の全てで貴様を満たしてやろう)
桃色に染まる頬を両手で包み、紅い唇を塞ぐ。舌を挿し込むとすぐに小さな舌に絡め取られる。普段見られない積極的な行為に一瞬戸惑うが、お返しに強く吸ってやる。
「んんっ、や、はぁ、あぁ…」
舌先で歯列の裏をなぞりながら、呼吸を奪うほど深く口づける。
「んっ、ふぁっ、っく、信長さま…くるし…」
とろんとした目で訴えられても、止めてはやらない。
口内を蹂躙し散々に味わったあと、漸く唇を離せば二人の間をツーっと銀糸が繋ぐ。
朱里の唇は口づけのせいでテラテラと濡れており、親指で拭ってやると、物欲しげな様子で微かに唇が開く。
「っ、信長さま、紅が…」
口づけで朱里の紅が己の口に移ったようだ。
「ふふふっ、色っぽいです」
朱里の手が俺の唇に付いた紅を拭おうと伸ばされる。
指が触れかけた瞬間、ぱくっとその指を咥えてやる。
「あっ、やん、だめですよ」