第18章 宴のあと
咥えた指を舌先でチロチロと舐め回し、チュプッと音を立てて吸い上げる……朱里の目を見つめながら……
「んんっ、やだ…あぁ」
羞恥で顔を赤らめる姿に、もっと苛めてやりたい、もっと乱れた顔を見てみたいという欲望に駆られる。
口から指を抜いて、そのまま両手を纏めて頭の上で縫い止めると、着物の袷を少し乱暴に開いて白い裸体を露わにする。
「あぁ…美しいな」
「ん、やぁん…私だけこんな…信長さまも脱いでくださいっ」
「…くっ、では…貴様が脱がせてみよ」
この乱世では戦場だけでなく平時でも命の危険と隣り合わせであり、武将は閨においても緊張の糸を解くことはない。
故に情事の際も、無防備に全裸にはならない。
天下人たるこの俺も常に暗殺の危険に晒されており、安土の警備は万全とはいえ日常的にあの手この手で首を狙われている。
閨に刺客を送り込まれることも珍しいことではない。
朱里との閨でもこれまで一度も全てを脱いだことはなく、いつもは着物を着崩して羽織った状態で事を為している。
快楽に溺れつつも、心の何処かで周囲に対する緊張を解けない自分自身がいた。
……が、朱里が望むなら…
本能のまま獣のように睦み合ってみたい…快楽のみに溺れてみたい…そう望む気持ちもあった。