第17章 戦場
それから数日経って、いよいよ信長様たちが帰還される日
「秀吉さん。信長様たち、まだかな?」
愛しい人に早く逢いたくて、朝からずっと同じ質問ばかりしてしまってる。
そろそろ秀吉さんも呆れてるかも…自分でも分かってるけど、じっと待ってるなんて出来なくて。
「う〜ん、午後には着くと伝令があったからそろそろかとは思うけど…それより朱里、着替えてきたらどうだ?
せっかくの出迎えだ、もっと煌びやかにした方が…」
「っ、でも、戦でみんな疲れて帰ってくるのに私だけ呑気に着飾れないよっ」
「な〜に言ってんだ。戦には勝ったんだから、華やかに出迎えればいいんだよ!
御館様も喜ばれると思うぞ。
まあ、朱里はそのままでも充分可愛いけどさ」
(っ、秀吉さんってば….可愛いとか普通に言うんだから…)
「…じゃあ、ちょっと着替えてくるっ!お化粧もいつもより濃くしてもらおうかな?」
「おう、御館様がびっくりするぐらい綺麗にしてこい!」
秀吉さんと顔を見合わせて笑う。
信長様が出陣されてからずっと不安で、心から笑える気分ではなかったけれど、今日は自然と心が浮き立ってくる。
(もうすぐ逢える…なんて声をかけよう…)