第17章 戦場
遠くから、廊下をバタバタと走ってくる音が聞こえる。
(ん、これはもしかして…)
(…秀吉さん!) と思った瞬間、いきなり襖が派手に開かれて秀吉さんが走り込んできた。
(やっぱり!)
「っ、はぁはぁ……朱里!勝ったぞ!織田軍の勝利だ!
…御館様が帰ってこられるぞ。よかったな」
「っ、ほんと?秀吉さん!
みんな、無事なの?怪我とかしてない??」
「ああ、全員怪我もないらしい。
当初の予定より時間がかかってたから心配だったけど……よかったよ」
(みんな無事でよかった…)
「…そうだ、これ。朱里に、御館様からの文だ」
そう言って、1通の書状を手渡してくれる。
(信長様からの文??
…っていうか、文って初めてもらったかも……)
嬉しくなって、受け取った文をまじまじと見てしまう。
『朱里へ』
宛名に書かれた流れるように達筆な信長様の文字を見て、目頭が熱くなる。
気を利かせてくれたのか、いつの間にか秀吉さんはいなくなっていて、私はそっと手紙を開いていった。