第17章 戦場
信長様が出陣されてから数週間が経つ
戦場からは状況報告の伝令が秀吉さん宛に届き、秀吉さんはその都度、私にも知らせに来てくれる。
(少し前の報告では、まもなく城攻めが始まるって言ってた…
戦況はどうなんだろう…
信長様、お怪我などされていないかしら…
家康、政宗、光秀さん…みんな無事でいて)
自室にいても毎日信長様たちのことが頭から離れず、夜もあまり眠れていなかった。
夜、天主で一人になると悪い想像ばかりしてしまい不安で押し潰されそうになる。
信長様が戦で負ける筈がない、そう思うけれど不安で寂しくて…
出陣の日の朝に着替えて衣桁にかけていった信長様の漆黒の夜着にそっと触れて、柔らかいその生地に顔を埋める。
深く息を吸い込むと、信長様の匂いがして、包み込まれるような安心感を感じる。
(ご無事で帰ってきて欲しい
早く、この身で直に貴方を感じたい…貴方の無事を確かめたい)