第92章 帯解き
かなり夜も更けて、宴もようやくお開きになり、信長様と私は天主に戻っていた。
「信長様、大丈夫ですか?」
だいぶ酔いが回っておられるのだろうか、足元が覚束ない様子の信長様を支えながら何とか寝所まで辿り着くと、寝台の上に倒れ込むようにして押し倒される。
「あっ…信長様っ…何を…」
「……………」
首筋に顔を埋め、深く息を吸われると、身体がビクンっと跳ねてしまう。
熱い吐息はお酒の強い匂いが混じっていて、宴では一滴も飲んでいない私もクラクラと酔ってしまいそうになる。
「んんっ…はぁ…信長さまっ…やっ、あぁ…」
熱い舌が首筋を舐め上げて、耳朶を火照った唇が喰む。
(あぁ…ダメっ…信長様の身体、すごく熱いっ…)
酒が回った身体はいつも以上に熱く火照っていて、着物越しに私の身体に触れる手も熱を持ったように熱い。
「信長様っ…ダメですよ、もうお休みにならないと……」
「………朱里っ…抱きたい」
「えっ……あぁ!やっ、あっ…ンンッ…」
ーちゅっ ちゅうぅっっ…
胸元をはだけさせられ、鎖骨に強く吸いつかれる。
骨を咬むカリッという音が脳内に響いて、お腹の奥がずくりと疼き始める。
荒ぶった獣のように、はぁはぁと荒く息を吐きながら、信長は朱里の華奢な身体を組み敷く。
身体を這い回る手はいつもより少し乱暴で、性急に着物を乱し始める。
「あっ、んっ…待って、信長さまっ…やだ…」
「朱里っ…貴様が欲しいっ…」
艶っぽく熱を帯びた掠れた声で直接的に身体を求められて、ゾクゾクする。
熱に浮かされたような、とろんと蕩けた深紅の瞳が間近に迫る。
ーちゅっ ちゅうぅ… ちゅぷっ…くちゅっ…
着物の前を開かれて、溢れ出た乳房に吸い付かれる。
中心の突起に舌を絡めて吸い上げられてしまうと、久しぶりの刺激に腰が砕けたように酷く感じる。
子を産んでひと月ばかり。
普段、赤子が吸い付いても何の刺激もないところが、愛しい夫の唇に淫らに吸われるだけで、甘く疼いて堪らない。
わざとだろうか…信長様は赤子のようにちゅうちゅうと音を立てて乳を吸い上げる。
それが何だか恥ずかしくて、羞恥心と直接的な刺激のせいで急速に身体の奥の熱が上昇する。
「やぁ…いやぁ…吸っちゃ、やだぁ…」