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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第90章 月に揺らぐ


よろめいて信長様に支えてもらったのは事実だし、もういつ産まれてもおかしくないぐらいお腹が大きいということは分かっているつもりだったのだが……立ち眩みを起こしたぐらいでそんなに怒られるとは思ってもみなかった。

結局その後、反論もできぬままに信長様に強引に抱き上げられた私は、有無を言わせずそのまま褥に直行させられてしまい……宴の準備には一切参加させてもらえなかったのだった。




(うぅ…休んでいろって言われても…病気じゃないのに昼間から寝てられないよ…)

私を寝所に運んだ後、信長様はそのまま政務へ戻られた。

私の身体を抱き上げた信長様は、壊れものを扱うかのように優しく褥の上へと運んでくれたが、その優しい手付きとは反対に、終始無言で苛立ちを隠せないご様子だった。

私はといえば、信長様がそんなにも不機嫌になる理由が分からず、かといって容易く話しかけられる雰囲気でもなく……モヤモヤとした気持ちのまま褥の上に横になっていた。


(はぁ…いつまでも横になってても仕方ない。気分も悪くないんだし……よし、宴の準備がダメなら、帯解きの衣装の確認をしておこう!)

思い立って褥から今度はそおっと起き上がり、結華のところへ行くために部屋を出ようとすると………


「奥方様っ…どちらへ?」

(ええっ!?)

入り口の襖を開けた途端、部屋の前に立ち塞がるように控えていたのは……信長様の小姓の方だった。

「あ、あのぅ…」

「どちらかへ参られますか?奥方様がごゆっくりお休み頂けるようにお部屋の前で控えているようにと、御館様から命じられております。ご入用のものなどございましたら私がお持ち致しますので、何なりとお申しつけ下さいませ!」

「は、はぁ…」
(ええっ…何それ??私、部屋から出ちゃいけないの!?)

信長様のいきなりの過剰な束縛に、呆然としてしまい、言葉が出てこなかった。

「奥方様?如何なさいました?」

「っ…いえ…何でもありません…」

目の前の小姓の方は、信長様のご命令を守らんと真剣そのもので…それを押し切ってまで出て行く勇気は私にはなく…何だか色々と申し訳なくなってしまい、すごすごと部屋の中へと戻るしかなかった。


(何で急にこんなことに……私、信長様のこと、何か怒らせちゃった??)



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