第16章 出陣
その夜、信長様は明け方近くまで何度も私を抱き、愛の言葉を囁いてくださった。
身体中に信長様の愛の証しを感じながら、未だ気怠さが残る身体を起こす。
「…起きたのか?まだ早い、休んでおればよい」
褥から起きて身支度を整えながら、信長様が優しげに微笑む。
「…っ、いえ、御支度をお手伝い致します」
信長様の着物の着付けを手伝いながら、その逞しい身体にそっと触れる。
(どうかご無事で。このお身体が傷つくことがありませんように…)
信長様は、身体に触れる私の手を取って指先に口づける。
「…ふっ、昨夜はあれほど貴様を抱いたというに、まだ足りぬ。この身はまだ貴様を求めている……俺も堪え性がなくなったものだな」
「信長様…」
(私も…あなたが足りません。もっと触れあっていたい。このまま時が止まって、出陣の時間が来なければいいのに…)