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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第87章 向日葵の恋


「なっ…御館様っ…なんてことをなさるんですか!千鶴がいなくなると知って、結華様がどれほど悲しまれたか…泣いておられたんですよ?」

「あぁ…そうだ。貴様ら、結華を泣かせた罪は重いぞ」

「はぁ!? それは御館様の嘘のせいでしょうが!」

「うるさい、秀吉、黙れ。貴様らには結華を泣かせた罰を与えねばならん。秀吉、千鶴、貴様らには、三日間の謹慎を命ずる。二人で秀吉の御殿に籠り、三日間、一歩たりとも外へ出ることを禁ずる。
いや…禁ずるのは、御殿から、ではなく、褥から出ること……だな、くくくっ…」

「お、御館様ーっ!」


慌てふためく秀吉と真っ赤な顔になった千鶴を、信長と朱里は微笑ましい思いで見守っていた。




二人が退出した後、信長は廻縁に出て、無数の星が瞬く夜空を見上げる。今宵は新月で月明かりがない為、星が一際良く見えた。
昼間の蒸し暑さも、陽が落ちれば幾分和らぎ、室内よりも外の方が過ごしやすいぐらいだった。

「……信長様?」

そっと寄り添うように傍に来た朱里の肩を、片手で抱き寄せる。
甘えるように頭を預けてくる朱里が愛らしくて堪らず、頭のてっぺんに軽く口付けを落とす。

「んっ…秀吉さん達、上手くいってよかったですね」

擽ったそうに身を捩りながら言う朱里の身体を、両腕で抱き竦めてそのまま欄干に凭れる。

「あぁ…彼奴ら、この俺に世話を焼かせるとはな」

「ふふ…でも、ちょっとびっくりしました。本気で千鶴に乳母を辞めさせてしまわれるおつもりかと思って…心配しましたよ」

「くくっ…俺が、有益な者を簡単に手放す筈がなかろう?ああでもしなければ、不器用な秀吉はいつまで経っても動かんからな。全て想定の範囲内だ」

ふてぶてしいばかりに自信たっぷりな信長を見ていた朱里は、少し意地悪を言ってみたくなる。


「…じゃあ、結華を泣かせたのも、想定内ですか?」

「ゔっ……」

「酷く悲しんで泣き腫らして…可哀想なぐらいでした。夕餉も食べなかったのですよ?今も…お布団の中で泣いているかも……」

「くっ…そ、それは…そんなつもりではなく…いや、俺もまさか千鶴が結華に直接別れを言うとは思わず…結華を騙すつもりなどなかったのだぞ!?俺が、結華を悲しませるようなことをするはずがなかろう?」

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