第85章 黒い影
「っ…ゔあ"あ"っ…!」
喉を鳴らして唾を呑み込んだことで、無意識に信長様のモノを喉奥で締め付けてしまったらしい。信長様の口から一際悩ましげな声が溢れたと同時に、私の口の中で男根がビクビクッと震える。
信長様が感じてくれているのが嬉しくて、口いっぱいに頬張ったモノを、口を窄めてジュボジュボっと卑猥な水音を立てながら出し挿れしていると、溢れた唾液が口の端からだらしなく垂れる。
(っ…恥ずかしい…けど、信長様が気持ち好くなって下さるなら…)
質量を増した男根が口内を圧迫し、息苦しくて堪らない。
自然と潤んでくる瞳で縋るように見上げると、気持ち好さそうに口の端を緩める信長様と目が合った。
「っ…はぁ…朱里っ…」
口での愛撫を続けながら潤む瞳で見つめる私に、信長様はそっと手を伸ばす。
その大きな手は、私の頭を撫で、髪を優しく梳いていく。
愛おしい、と言うかのように何度も何度も……
「くっ…朱里っ、もう…出るっ!」
少し掠れた悩ましい声で言われた瞬間、一際大きく膨らんだモノが私の口の中からずるりと引き抜かれる。
ードピュッ!ビュクッ…ビュルルルッ…
抜いた瞬間、生き物のように跳ねる男根をご自身の手で抑えられた信長様だったが、予想以上の量の吐精に、その大きな手の平はあっという間に白濁塗れになってしまったようだ。
「はぁ…はぁ…ぁ…信長さま…」
(っ…口の中に出して下さっても、よかったのに…)
ベタベタに汚れた手を懐紙で拭きながら、乱れた息を整えている信長様に見惚れてしまいながらも、何となく淋しい気持ちにもなる。
交れなくても、信長様の命の証を、今宵は己の中に刻みたかったのだ。
「……辛くはないか?」
抱き締めて身体をゆっくりと撫でてくれながら、耳元で囁かれる。
その声は、ひどく優しくて愛情に満ちていた。
「はい…私は大丈夫です…あの、信長様は…そのぅ、気持ち好かったですか?」
(私は、貴方を満たしてあげられましたか?)
「くくっ…出陣前だということを忘れるぐらい心地好かった。腰が砕けるかと思ったぞ?いつからそんなに口上手になったのだ?」
「や、やだ…そんなこと…」
満足げに微笑む信長様を見て、少しは癒して差し上げられたかと、私もまた安堵していた。
(どうかご無事で…此度の戦で、貴方の心と身体が傷つきませんように……)