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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第84章 星に願いを


「朱里、落ち着いて聞いて。今、少し出血してるけど、量は多くない。このまま安静にして、すぐに血が止まれば、腹の子は持ちこたえると思う…痛みの方はどう?」

「っ…さっきよりはマシ、かな…まだちょっと痛い、けど…」

「そう…薬は処方してあげられないから、これも安静にしてるしか方法がないんだ…悪いけど。後で産婆にも診てもらおうね」

「……家康、私っ…動かないで大人しくしてたら、赤ちゃん守れる?まだ…大丈夫だよね?この子、さっきから…動いてくれないの。ねぇっ…大丈夫かな?」

「………確約は、出来ない。胎動は、もう少し様子見てみないと…ごめん、今はこんなことしか言えない」


不安げに、縋るように問いかける朱里を安心させてあげたい。
きっと、酷く不安で、自分を責めているんだろう。
今にも泣き出しそうな顔で、何度も何度もお腹を撫でている。

『大丈夫、大したことないよ』と言ってやりたい…そう言えない自分が、酷くもどかしかった。




「………バチが当たったんだね、きっと」

「………えっ?」

ポツリと呟くような小さな声が突然聞こえて、ハッとして顔を上げると、ぼんやりと虚ろな目で天井を見上げる朱里の姿があった。
お腹を撫でる手はそのままで、ずっと動いているが、その目は感情をどこかにやってしまったみたいに茫然としている。


「朱里?」

「……これは…信長様を信じられなかった私への罰なの。この子は何にも悪くない。私がっ…私が悪いの。だから、お願い家康っ、この子を助けて!この子が無事に産まれてくれるなら…私、何でもするから…お願いっ…家康…」

「っ…朱里っ…」


取り乱す朱里を何とか宥めて、家康は、事ここに至った訳を、何とか聞くことができた。

ポツリポツリと少しずつ話してくれる朱里の言葉に耳を傾けながら、不器用な、けれど互いを深く想いやる二人の、想いが深すぎるがゆえに悲しくすれ違ってしまった訳に、家康は、かける言葉が見つからなかった。



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