第83章 心とカラダ
「くっ…阿呆っ…呆けたことを言いおって…元気かどうか、自分で確かめねば分かるまい?」
言うや否や、抱き上げられて胡座の足の上に乗せられる。
当然のように、お尻に感じる硬いモノの感触……
「も、もうっ!やだぁ…」
(あぁ…いつもの信長様だ。意地悪でやらしくて…とびきり甘い)
「信長様、お身体、大事なくて…本当によかったです」
愛しさが募り、少し背を伸ばし首筋に腕を回して、ぎゅうっと抱きついた。
「ふっ…案ずるな、と言っただろう?」
「だって…女性の姿の信長様は綺麗で、昨日は一日、素敵な姉上様ができたみたいで楽しかったですけど………やっぱり少し心配でした。家康の言葉を信じられなかった訳じゃないんですけど、このまま一晩経って、もし元に戻らなかったら、って思うと不安で……。
やっぱり…男らしい信長様が…好き」
「っ……貴様という奴は…」
照れたように言葉を詰まらせた信長様は、微かに赤くなった頬を誤魔化すかのように私を強く抱き締めた。
「……まぁ、女のカラダも悪くなかったがな」
「えっ?」
「貴様と女同士で過ごす時間は新鮮だった。慌てる秀吉を揶揄うのもまた、愉快だったしな」
「ふふっ…信長様ったら…」
「新しい発見も多かった。女のカラダの好いところは隅々まで熟知したぞ。朱里、今宵からの閨を楽しみにしておれ。貴様を更なる高みに連れて行ってやる」
「は?はぁ!?な、何を言って……」
女のカラダの感じ方を身を持って知ったらしい信長様は、勝ち誇ったような顔で私に胸を張る。
(もぅ…信長様らしいっていうか…)
どんな状況でも信長様は常に前向きだ。
私や、周りの皆が不安にならないようにさりげなく振る舞い、その状況を心の底から楽しまれる方だ。
どんな姿であっても、信長様はやっぱり信長様なのだ。
私が心から愛する、この世でただ一人、唯一無二の御方なのだから………