第15章 発熱
色々と物想いに耽りながら、筆を走らせていると、廊下をバタバタと走る、大きな足音が聞こえてくる。
「ん?誰だろ?あんなに急いで…」
足音は私の部屋の前で大きな音を立てて止まり、勢いよく襖が開かれる。
「朱里っ!大変だ、御館様がっ…」
はぁはぁと息を切らせて襖に手を掛けているのは、なんと秀吉さんだった。
(いつもは廊下は走るな、って口煩く言うのに…どうしたっていうんだろう??)
「っ、大丈夫?秀吉さん?何かあったの??」
「御館様がっ…御館様が変なんだ!様子がおかしいっていうか…」
「ええっ?それ、どういうこと?」
「と、とにかく、一緒に来てくれ!見れば分かる!御館様は、天主で政務を執られてる。その様子を一緒に見てくれないか?」
秀吉さんは、私の返事を待たずに腕を半ば強引に引っ張って連れて行こうとする。
(こんな焦ってる秀吉さん、見たことないよ…信長様に何があったの??)