第1章 桔梗と龍
「この花は桔梗?」
私が一面に広がる青い花を見ながらつぶやくと
「おんし桔梗をしっちゅうのか?」
と嬉しそうに男は私に笑いかけた。
「はい。私の好きな花なんです。」
と目を細めて桔梗の花を眺めた。
・・・ってそんな事言ってる場合じゃない。
私は真理子の家について小さな鳥居と社を見つけて・・・そして雷に打たれて・・・。
やっぱりここは天国なんじゃと思い男を見る。
「あの、ここはどこなんでしょうか?」
私は恐る恐る尋ねる。
「ん?おんし自分がどこにいるのかわからんのか?」
「はい・・・。桔梗畑にいる事以外は。
やはり・・・
天国でしょうか?」
恐る恐る尋ねると男は目を丸め、
「あっはっはっはっ。
ここは京じゃよ。天国じゃーないがよ。」
と、教えてくれた。