第1章 桔梗と龍
「ちょっと待っててね。」
真理子は道場の中に入っていった。
私は立派な庭園に目を奪われ散策してみたくなった。
池には大きな鯉、きれいに選定されている植木、まさに日本庭園!
私はウキウキしながら見ていると庭の奥のほうにまるで何かを隠すように木々が生い茂ってるところに目が向いた。
「・・・気になる。」
何もないんだろうけど、何かにひきつけられるように近寄ると小さな鳥居と社が見えた。
「ここ・・・真理子ん家の敷地じゃないのかな?」
ここだけ木々が伸び放題って事は違うんだろうな・・・と思いながら足を踏み入れてみる。
中に入ってみると見た目より開けていて歩くのは容易かった。
でも不思議なことに近くにあるように見えた鳥居と社にはなかなかたどり着かなかった。
「すぐそこにあるように感じたんだけどな・・・。」
首をかしげながらようやくたどり着いた社に向かい合う。
特に何の変哲もないけれど、ボロボロの社をしばらく見ていたら、風が吹きキィと音を立てて扉が開いた。
私は好奇心から扉をくぐり狭い社の中を見回した。
「特に何もない・・・か。」
私はフッと息を吐き踵を返して外に出ようとしたら足元に桔梗の花を木で彫った根付を見つけた。
「桔梗の・・・根付?」
根付を拾い上げると突然ゴロゴロと空が鳴りだした。
「雷!?さっきまで晴れてたのに!!」
急いで真理子の家に戻ろうと社から飛び出た時、あたりが真っ白な光に包まれた。
嘘!落ちた!?
私はパニックに陥りとっさに頭を抱えてしゃがみこんだ。
その瞬間、体に電流のようなものが流れ私は気を失った・・・。