第1章 桔梗と龍
着いた~!!」
私は電車を降りて駅のホームで大きく伸びた。
「京都かぁ。中学校の修学旅行以来だな。」
改札を抜けると笑顔でブンブンと手を振る懐
かしい顔があった。
「千春~~!!」
「真理子!」
私は真理子に抱き着き再開を喜んだ。
真理子は中学からの親友だけど、高校2年生になった春、お父さんの仕事の都合で京都に引っ越してしまった。
「京都なんて東京から新幹線で2時間ちょっとじゃん!すぐ会えるよ。」
と涙ぐむ真理子に夏に会いに行くと約束をし、夏休みに入って会いに来たのだ。
「メールや電話を頻繁にしててもやっぱり会えると嬉しいね。」
真理子は嬉しそうにヨシヨシと頭を撫でてくれた。
「うん!これから一週間お世話になるね!」
私は真理子に甘えるように腕に抱きつく。
真理子はニコニコしながら「じゃぁ家に行こうか」と私の荷物を持って歩き出した。
真理子のお母さんは元々京都の人で、京都に引っ越すと決まった時、お母さんの実家に帰ることになった。
そのお母さんの実家が門弟もたくさんいる有名な剣道場で、お母さんも師範代の腕だったことからまた竹刀を握って指導してるらしい。
「お母さん、あんたに指導するの楽しみにしてたよ。」
真理子がニヤニヤしながら私に言う。
「うっ・・・。真理子ママ竹刀握ると人格変わるんだもん・・・。」
「まぁそう言いなさんな。千春の剣道センスは私も期待してるんだから。」
私はため息をつきながら、それでも真理子と剣道ができるのを楽しみにしていた。
「さ、着いたよ。」
タクシーで移動して着いたところは立派な門替えの道場の前だった。
「・・・写メで見るより迫力ある門構えだね・・・」
私は圧倒されてしまい「何言ってるの」と笑う真理子の後に着いて中に入った。