第2章 由希センパイ、おしおきね。
「…ちっ…またてめぇかよ…。」
バッと手を離した静が成瀬を睨み返す。
「ま、町田さん。いきなりすまねぇっした。ただ、俺が好きって気持ちはまだ変わってないんで!」
それだけ言い残して、静は部室を後にした。
状況が掴めていない二人を残して。
「センパイ、何してたの?」
「タ、タオル畳んでただけだけど。」
「じゃなくて、今。静と。」
「…何してたんだろう…ね?」
「…は」
由希自身も何故袴田くんがいきなり抱きしめて来たのか分かっていない。
そもそも部室への用事はなんだったんだろう。
そんなに一緒にタオル畳みたかったのかな。
鈍感な由希はどこまでも鈍感なまま。
「まぁいいや。とりあえず、放課後覚えといてね。」
「え、ちょっっまっ…っ」
微妙な空気のまま、成瀬は体育館へ戻っていった。
その後の部活の空気は当たり前の様にいつもより悪く、二人してガルガルのオンパレードであった。