第5章 糖度:30%
〜茅野side〜
帰ってきて無心で部屋着に着替え、楽になると。
私は部屋に入るなりすぐにベットにダイブし、くまのぬいぐるみに顔を埋めた。
今日もまた脳内会議が行われているのだった。
(だぁぁぁぁぁぁああもう!!
ばか!私のばか!!いや知ってるけど!!!
すでに中1の勝己に負けてるけど!!)
どたん、ばたん、と足をばたつかせながら、気持ちがつい声に出てしまう。
「なんでよりにもよって今度泊まりに行こうかな、だよ!」
「っとだよ、何考えとんじゃてめぇは」
「いや、違くて...
なにもやましいことはなくてね、逆にやましいことがないから言ってしまったというかなんというか
別に勝己のお風呂上がりのお色気むんむんをみたいとか濡れ髪を楽しみたいとかふいてあげたいとか逆に拭いてもらいたいとかドライヤーしてもらいたいとか、そういうんじゃなくて、光己ちゃんのから揚げが食べたいから.....
.?ん?そういえばなんかから揚げのにおいが....ぁ、、、ぁ?」
何かを感じて恐る恐る、後ろを振り返る。
そういえば私、誰と会話してたんだ。
まさか、ね。うん。
いるわけないし。
てか聞いてるわけ、ないし。
気のせいだし。
まさか、そんな
「〜〜〜っ、そんなに泊まりしたいんかあ?!あ?!
から揚げは持ってきちまっただろうが!!」
いる。
しかも、から揚げを持って。
上裸にタオルをかけて。
ツンツンの1束から雫を垂らして。
(ねぇ勝己、上の服は??なんでいるの??いつからいたの??)
「かっこいい...むり....」
「....は?」
私はパニックでわけがわからなかった。
脳内とセリフがごっちゃになってしまう。
...私今もしかして、かっこいいって言った??
「っ、な、なんだぁ?!
どこに今かっこいいって言う要素があんだよ!」
「へ??あ、か、から揚げ!!
かっこいいなあ!って!あはは!!
....って勝己、何しにきたの??」
もう焦ってしまって何が何だか分からない。
私は相当頭のおかしいやつだと思われただろう。
大体、昔からいつもかっこいいくらい言ってるのに。
別に恥ずかしがる必要なんて....
「ババアにこれ、届けてこいって言われたんだよ
...あと。」
そこで勝己は、何か言いたげな顔をして固まってしまった。