第5章 糖度:30%
勝己side
まずい。今日泊まることになるとは聞いてねぇ。
ババアナイスだけどナイスじゃねえ!!
「クソ、俺、我慢できんのかよ、、」
拳を握りながら呟いた俺の声は、トイレの壁に吸い込まれて
誰にも聞かれずに消えた。
* * *
『お風呂ありがとうございました〜』
髪をタオルで拭きながら、リビングにいる光己さんに声をかけた。
「はーい
勝己は部屋にいると思うから、ちゃんと髪乾かしてもらうのよ」
と言われて、髪の毛乾かしてもらうの久しぶりだな
あの時間好きなんだよね、なんて考えながら勝己の部屋に向かった。
『勝己、おまた......せ...?』
電気はつけたままだが、ベッドに布団もかけず寝ている勝己がいた。
(疲れて寝落ちちゃったのかな
そっとしておこう)
そう思いつつも、寝顔が見たくて静かに近寄った。
(まつ毛、なが、、
こうやって間近でじっくり見る機会なんて、なかなかないもんね
肌も、すべすべで)
『...ふふ、かわいいなぁ』
ほっぺたを撫でながら、微笑んだ。
そして、気付けば至近距離で寝顔を眺めていた茅野の口に、
柔らかい何かが当たる感覚があった。
『...っ、え』
赤い瞳が、茅野の大きな瞳を覗き込む。
「顔を近づけてきた、茅野が悪い」
『え、っな、なんで、!』
「いいから、黙ってろ
.....俺の顔至近距離で見てたせいだ」
わたわたする茅野の腕を引っ張って、
大きな胸板に収めた。
鼻いっぱいに匂いが広がった。
心臓の大きな音が
静かな部屋に響いていた。
糖度は、30%。