• テキストサイズ

【爆豪勝己】君のそばで。

第4章 不良少年誕生


「…甘ぇな」

『そう?美味しいじゃん』

一口勢いよくかぶりつくと
口のはしについたクリームを指で拭って舐める仕草がかっこよくて茅野は見とれながら言った。

「不味いとはいってねぇ!!」

『確かに』

そして茅野はあっという間に自分のクレープを平らげ、行儀よく手を合わせて『ごちそうさま』と言った。

勝己はそれを待ってたかのように、2/3は余っているクレープを
「ん」
と茅野に差し出した。

『もういいの?』
と聞きながらクレープを受けとると、2つ目のクレープにも勢いよくかみつく。

『キャラメルバナナも美味しいね!!』

おやつにその量を食べる女子中学生は、なかなかいない。
だが茅野にはある事情があった。

(今までは大食いなのに太りやすい体質で甘いの控えてたりダイエットしたりしてたけど、
何でかこっち来てからどれだけ食べても太らなくなったんだよね)

二個目だというのにむしゃむしゃと余裕で平らげていく姿を勝己は
(…なんでいちいちそんな可愛んだよ)
と思いながら見つめた。

『ん?

あ、はい』

見られていたのが暇だと捉えた茅野は、鞄から「汗が止まらない!!超超激辛煎餅」などと赤いパッケージに書かれたものを取り出して勝己に渡した。

辛いものが好きな勝己は、甘いものを食べると辛いものが欲しくなる。
それを知っている茅野は、自分の甘いものを食べに行くのに付き合ってもらうときは辛いものを持って行くようになった。

受け取ったそれをバリバリと普通に食べ始める勝己を、茅野は
(それドンキの罰ゲームコーナーに置いてあるやつなんだけど、な)
と思いながら見つめた。

茅野に見つめられ、欲しいという意味だと思った勝己は一枚取って口にくわえさせる。

当然、普通の人には罰ゲームでしかないそれをくわえさせられた茅野は、
くわえている唇からじわじわと熱くて辛いものが伝わり、涙目で
『んんー!!』
と辛さに身をよじらせた。

その光景がなんだか良からぬことをしているかのようでチェリー勝己は赤くなり、自分の理性を保つために早く止めさせようと
茅野の唇から出る煎餅に勢いよくかじりついた。
煎餅はするっと茅野の口からいなくなると
バリバリと音をたてて勝己の中へいなくなった。
/ 59ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp