第3章 距離
階段を降りてダイニングの方へ向かった。
ドアを開けるとパンのいいにおいが漂ってきた。
『おそく…』
呼ばれてからかなりたってしまって、茅野は謝ろうと口を開いた。が…
「遅い!!!起こしに行ってからもう30分近くたってるんだけど!!!
あんたらは本当にいちゃいちゃばっかして!!
ちゃんとご飯は食べてからにしろ!!!」
入ってすぐにガミガミと怒られてしまう二人。
『ご、ごめんなさい…』
(光己ちゃん、やっぱ怒ると怖い……)
「…。」
「勝己!!あんたでしょ茅野ちゃん離さないのは!!
返信ぐらいしろ!!」
「まぁまぁ、そんなに朝から怒らなくても…」
「うっさい!!あんたは関係ないだろ!!!」
そして勝己の反抗とお父さんへの可哀想な対応は少しずつ始まりつつあるのだった。
「『いってきまーす』」
「いってらっしゃい」
光己に見送られて家を出ると、既に周りに小学生の歩く姿はなかった。
『あーぁ。これやっぱ遅刻じゃない…??』
「まだ間に合うだろ!!
爆速ターボで…」
『ばか!!捕まるよ、そんなの!!』
「冗談だばーか。走ろーぜ!!」
…___そして結局、ギリギリ間に合わずに
宿題が増やされてしまう二人だった。