第4章 不良少年誕生
* * *
『光己ちゃんおはよー!!』
「茅野ちゃんめずらしい、先に来るなんて!!
制服似合うね!!」
『えへへ、ありがと!!
なんか楽しみでねっ、早く目覚めちゃったの』
あっという間に月日は過ぎて、ついに今日は中学の入学式である。
もう何度も出入りしている爆豪家。
茅野は庭からリビングに入って、座ってテレビを見ていた光己にいつものように声をかけた。
いつも学校にいくときは、準備の早い勝己が茅野を迎えに行く方が圧倒的に多いのだが、
今日はわくわくして目が覚めたため、早く準備を終わらせて茅野が迎えに来たのだ。
「…あ"?なんでいンだ」
光己と話していると、準備を終えたであろう勝己が入って来て、片眉をあげてこちらを見ていた。
崩した制服の着こなしをしている。
『おはよ、勝己!!思ったより制服似合うねっ!!
楽しみで早く起きたの』
「そーかよ
俺は何でも似合うに決まってんだろ」
『ふふ、そうだったね』
「行くぞ」
『じゃあ光己ちゃん、行ってきます!!』
茅野は早々と玄関へ歩いて行く勝己を追うように、急いで光己に声をかけて、
再び庭の裏口からでていった。
光己は、
(中学生になっても、相変わらずだな二人は…)
なんて半分呆れながら、
並んで歩いて行く二人の子供を窓から見送って微笑んだ。
『ねぇ、クラス同じになれるかなっ』
「…なれんだろ
結局毎年ほとんど同クラだったじゃねぇか」
着崩した制服のポケットに手を突っ込みながら、だるそうに歩く勝己。
こんな不良のような…というかどこからどうみても360°不良でも、
茅野の歩幅に合わせて歩いてくれているのだった。
(相変わらず優しいのは変わんないよね
…入学式からその着こなしはちょっとまずい気もしなくもないけど
言ったら怒られると思うから言わないけどね)
ふふ、と笑い声を漏らした茅野を勝己は、
「なに笑ってんだぁ?!」
と不思議そうに見つめた。