第2章 知らないこと
「ヒーローごっこしようぜ!!」
(…だ、大丈夫、かな)
「出久が敵で、俺とがヒーローな!!」
(あ、でもまだ出久呼び…。)
「ずるいよかっちゃん!!
この前もヒーローやっただろ!!」
「無個性がヒーロー出来るかよ」
(…やっぱダメだぁ!!これダメなやつ!!)
「茅野、出久って無個性なんだぜ」
「かっちゃん…!!」
(勝己を傷つけないで出久くん助ける方法あるかな…!?
この頃は自尊心、高校のときほどではないはずだけど…
一応注意したりはしないで…)
『えっと…じゃ、じゃんけんしてヒーロー決めようよ!!
わ、私もヒーローやりたいし!!』
「でも女の子なのに怪我したらどうすんだよ!?」
『私だってヒーロー目指してるもん!!大丈夫だよっ!?』
勝己を注意して出久を庇えば、性格的に傷つけてしまう。
だからといって勝己の味方をして一緒にいじめなんて絶対したくない。
(だったらそこには触れずにどっちの味方でもなく提案を…!!)
すると勝己が、
「茅野が言うなら…じゃんけんしようぜ」
と渋々了承してくれた。
出久は嬉しそうに首を上下に激しく振っている。
(よかったぁ!!
勝己、意外とあっさりいいって言ってくれた
茅野が言うなら…だってヤバイ尊い…!!)
「最初はグー、じゃんけん」
「「『ぽん!!
…………あ。』」」
そして公平なじゃんけんの結果、
ヒーロー役は茅野になったのだった。
二人を見ると、何とも言えない顔をしていた。
勝己(茅野にいいとこ見せたかったのに…
でも茅野もやりたいって言ってたから良かった…?)
出久(今日もヒーロー役できないんだ…
でも茅野ちゃんどんな個性なのか分かんないから気になるなぁ…!!)
茅野(…やらかした、一番私やらなくていいのになぁ
二人共微妙な反応だし)
三人の間に不思議な空気が流れるのだった。