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LIvERARTE【BLEACH】

第7章 Nostalgic Noise


伊勢との戦闘後、綴は藍染の動向を掴むために五番隊隊舎へと向かっていた。旅禍の対応にしては慌ただしい様子を横目に歩を進めていると、席官であろう男から声をかけられた。

「おい、お前。何をしている」

鋭い誰何に、綴は足を止めた。

視線だけを巡らせる。周囲を走る隊士達の足音は乱れていた。命令系統が乱れた時特有の、焦げた紙のような匂いが空気に混じっている。旅禍の侵入だけではない。もっと別の何かが、瀞霊廷の腹の内側を引っ掻いていた。

綴は口元を覆う布を僅かに引き上げ、平隊士らしく背筋を正した。

「花枯での巡回を終えたので報告に向かおうとしておりました。何故か全ての門がおりていて帰還までに時間がかかってしまったため、その件についてもお伝えするつもりです」

男の眉が僅かに動く。

疑っている。

当然だ、と綴は思った。旅禍の捕縛に殆どの平隊員が駆り出されているはずの状況で、今更のように巡回帰りを名乗る者など怪しいに決まっている。まして五番隊周辺はただでさえ騒がしい。ここで少しでも言葉を誤れば、面倒な詮議に繋がる。

けれど綴は、息を乱さなかった。

胸の奥では別の焦燥が、じわじわと爪を立てている。

藍染惣右介。

その名だけが、頭の中で鈍く鳴っていた。

「巡回?……そうか、瀞霊廷の外に居たのなら仕方ない」

男は短く息を吐いた。疑念が完全に消えたわけではない。だが今は一人の隊士に構っている余裕もないのだろう。その声には、苛立ちよりも混乱の色が濃かった。

そして次の言葉で、綴の世界は一度、音を失った。

「今はそれどころではないのだ!! 藍染隊長が何者かに殺害された!!」

一瞬、足元の廊下が遠のいた。

風が吹いた気がした。けれど頬を撫でる感触はない。耳の奥で、血の流れる音だけがやけに大きく響いている。

藍染が、死んだ。

その言葉は意味を成しているのに、綴の中へ入ってこなかった。

「……まさか!! そんなはずは」

思わず出た声は、自分のものとは思えないほど掠れていた。
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