第7章 Nostalgic Noise
「縛道の四『這縄』、破道の三十二『黄火閃』」
「うおおおおおお!!」
八番隊第三席だと名乗る巨漢を綴が一瞬で戦闘不能にする。茶渡は攻撃の暇も与えられず倒れていった男を見つめていると進行方向から気の抜けた声が飛んできた。
「ひゅーっ♪やるねぇ!」
2人は声のした方を向くと、上から赤い花びらと流れ者の様な格好をした男が降ってきた。
「八番隊隊長京楽春水。初めまして♡」
「八番隊隊長……」
「……フフフ、そ♡ヨロシク」
隊長という言葉に茶渡は身構える。しかし、大量の花びらに埋もれる京楽の姿を見て茶渡は少し警戒を緩めた。
「ボク、護廷十三隊の女の子の事は大体知ってると思ったんだけどキミの事知らないなぁ。こんなに可愛くてその上強い子なんてそうそういないから知らないなんて事ないと思うんだけど……」
何も答えない綴の代わりに茶渡が口を開く。
「先を急ぐんだ、そこをどいてくれ。あんたは悪党じゃなさそうだ。できれば戦いにしたくない……」
「参ったねどうも。喧嘩が厭はお互い様。だけどこっちは通られても困る。なんとか退いちゃくれないもんかね」
「……それはできない」
退いてくれないかという京楽の提案に茶渡は否と返した。その回答に仲良く呑もうと更に提案する京楽に茶渡は呆気にとられる。
「イヤイヤ退くのがダメならせめてここで止まってくれないかと思ってさ。なに少しの間でいいんだ。今、他の隊長さんも動いてる。じき、この戦いも終わるからさ。それまでここで少しの間ボクと楽しく呑ろうじゃ……」
「……他の隊長?一護や……他の連中も隊長格に襲われているのか?」
「……参ったね、失言だったかなどうも」
「事情が変わった。京楽さん……今すぐそこをどいてくれ……」
「……嫌だと言ったら?」
「言わせない!!!」
放った巨人の一撃を手で跳ね返す京楽に茶渡は息を呑む。
「破道の三十一『赤火砲』!!」
「……はずれ」
綴が間髪入れずに撃った鬼道も京楽は首から上を動かすだけで避けてみせた。
「……やれやれ。面倒なことになってきたねェどうも」
立ちながらそう言った京楽の様子は言葉に反してとても飄々としていた。