第7章 Nostalgic Noise
2人はルキアがいるという懺罪宮に直線距離で向かっていた。
「見つけたぞ!捕まえろ!!」
前からやってきた隊士に向かってコンマ数秒で狙いを定め技を放つ。
「破道の三十一『赤火砲』」
「巨人の一撃!!」
「「「「「ぎゃあああああ!!!!!」」」」」
2人の攻撃によってその場に居る全ての隊士、30人程度が戦闘不能になった。一護の助けになりたいという茶渡の提案で道中の隊士は全て戦闘不能にするよう2人で取り決めたのだった。
「茶渡くん、相手を倒すのは私に任せて。その技はあまり使わない方が良いよ。疲れるでしょ」
「……いや、夜一さんに鍛えてもらったお陰であまり疲れなくなったから大丈夫だ」
「多分それはアドレナリンが出てるだけだと思う。それにあまり手の内は見せるべきじゃない」
それもそうかと茶渡は了承する。茶渡はそこで頭の隅にしまっていた疑問を口にした。
「黒崎は以前ここに居たことがあるのか?」
「え?」
どうしてそれを声に出さずとも分かるくらいに目を見開く綴にポリポリと頭をかきながら茶渡は答える。
「さっき朽木が居る場所を直ぐに特定していた。高い建物とはいえ、他にも高い建物がない訳じゃない。夜一さんや……浦原さんに何か言われていたとしても、この広い場所を地図も見ずに指し示すのは、ここに来たことがある……いや、住んだことでもない限り難しいと思う」
なんと言うべきなのか困っているのか綴は視線を彷徨わせる。
これ以上追い打ちをかけるつもりはないが、志波空鶴の家から口元を隠す布をつけている。どう考えても身元が割れないようにしているのは明らかだった。
沈黙が流れる。
その間もやってくる隊士を綴は最低限の動きで倒していく。素早い動きとは対照的に先程の返答は全く返って来ない。
「……別に今言う必要はない。俺は黒崎がどうだったとしても構わない。ただ、一護にはちゃんと言って欲しい。一護は黒崎のことを何よりも心配している」
「うん、分かった。ありがとう」
ほうと安堵した表情を浮かべた綴を見て、こんなに表情豊かだったんだなと茶渡は自身を棚に上げて思うのだった。