第7章 Nostalgic Noise
衝撃を殺すために綴は後ろへ飛んだ。しかし、着地する前に市丸が勢いをつけて白道門の外側へ綴を突き飛ばす。飛ばす直前、市丸は耳元で囁いた。
「1人で瀞霊廷は無謀や。止めといた方がええよ」
「!?どうして……」
「……それから、顔隠しとき綴ちゃん。顔、お母さんにそっくりや……乱菊にバレるで」
「ギン!!なんで!!」
「…………君には全て終わるまで傷つかんように待っとって欲しかったんやけどな。せめて皆と一緒に行動しとき」
目を見開き動かない綴を見て満足げな表情をしながら、瞬歩で5m程後ろに下がり一護達に向けて手を振った。
「バイバーイ♡」
直後、白道門は完全に閉じられた。
「綴、大丈夫か!?どっかケガしてねぇか!?」
吹き飛ばされた自分の身体の様子をそっちのけで一護はまったく動かない綴に駆け寄る。一護が両肩を持ち軽く揺さぶることでやっと綴の瞳が一護を捉えた。
「……あっ……うん。大丈夫。一護は?」
「俺は何ともねぇけどよ。門が閉まっちまった」
「無事で何よりじゃ一護。相手が市丸ではおぬしが飛びかからずとも同じ結果じゃったろう。おぬしに怪我が無いだけでも良しとせねばな」
固く閉じられた白道門を見上げながら夜一は今後の動きについて思案する。
どこかのタイミングで先行して綴が瀞霊廷内に侵入し、一護達が派手に動き回っている裏で綴が瀞霊廷内の藍染の様子を探り隙を見て殺害する予定だったのだが、綴の存在が一護達にバレてしまった。そして綴の様子から見るに市丸にも正体がバレている可能性が高い。
早くも計画が頓挫してしまった。
前途多難だと溜息をつくと、後ろから人が集まっている気配がして夜一は振り返る。先程まで閉じ篭っていた流魂街の住人が顔を出してきていた。
まあ、こうやって奴らが出てきたという事は志波空鶴の所在を聞き出すチャンスか……。敵か味方かは分からないが、外に出てきた以上脅してでも聞きだせば良い。バレてしまったことは一旦後回しにして空鶴を先に探すとしよう。
やっと一護達が流魂街の住人に気づいた所で夜一は彼等についての説明を始めるのだった。